長時間労働がなくならない理由を心理学的に考えてみる

先日、日本の長時間労働についてのCNBCの興味深いビデオをYoutubeを観ていたら見つけました。

日本語の字幕が残念ながら出せませんが、英語分かる方もしくは勉強中だよって方はぜひ観てみてください!↓

youtu.be

働き方改革は進んでいますが、世界水準でみたら未だに日本人は異常なくらい長時間働いています。

「仕事楽しくてどうしようもない」って人は長時間労働でも大丈夫だったりしますが、大多数のそうではない人にとっては長時間労働はただの苦痛でしかありません。

働き方改革がすすんでいるのに、なぜまだ長時間労働が根絶できていないのか、その理由を心理学の視点から解説してみたいと思います。

自己主張をせず、他人の期待に応えることに重きを置いている日本人

日本生まれ日本育ちの人は、「親の顔を伺って育ってきた人」が非常に多いです。このことが長時間労働に繋がっていると考えています。

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このことを理解するために、心理学の最新の理論として、Dynamic Maturational Model of Attachment(アタッチメントと適応の力動-成熟モデル)という理論を紹介したいと思います。

これは、育った家庭環境に大なり小なり問題があった場合に、人はどういった行動思考パターンを示すかについての理論です。

この理論によると、人の行動パターンはタイプA、B、C、A/Cの四つに分かれています。

まず、タイプBが愛情あふれる良い家庭で育った一番バランスのとれたタイプ、タイプA/Cは最悪の家庭環境で育ったいわゆるサイコパスです。

特段良くもないけど最悪の場合でもないグレーの場合は、タイプAもしくはCに分類されます。全く問題のない家庭で育った人は殆どいないので、世界中の大概の人はタイプAかCのどちらかです。

めちゃめちゃ簡単に言うと、タイプAは「自己主張をせず、親の顔をみて黙ってしたがってきたタイプ」、タイプCは「過剰な自己主張を親にして来たタイプ」です。

で、日本人の多くは「自己主張をせずに、親の顔を伺って黙って従う」タイプAに属する人が多いとされています。

その理由は、儒教をベースにした「親を敬う」文化だったり、歴史的に他国との独立戦争が無く、国を保つために自己主張を強める必要性がなかったこと等が影響しているとされていますが、はっきりとした研究はまだされていません。

小さい時に親の顔を伺ってきたタイプAの大人の主な行動パターンとして

  • 自分の意見を主張しない
  • 相手に黙って従う
  • 他人にどう見られているか過剰に気にする
  • 他人の期待に過剰に応えようとしてしまう
  • 休むことが苦手
  • 相手は悪くない、自分が悪いと思い込む

などなどたくさんの特徴があります。とても日本人的な行動パターンですね。というか、こういうことをしている人は賞賛されますよね。

で、一見してみるとわかるかと思いますが、長時間労働を求めてくる社会や会社組織があったら、タイプAは長時間労働につながってしまうような心理行動パターンだらけです。

あとは動画内でも言っていましたが、有給取得率がとても低いみたいです。これもこの行動パターンから解釈が可能です。

「休むことに罪悪感を感じる、有休消化に罪悪感を感じる」というのは、無意識的な「休むことが苦手」、「相手の期待に応えられないのではないのか」という不安から来るものです。

こんな風に、日本の属する文化だったり、家庭環境の問題から長時間労働を解釈することが出来ます。

文化心理学的に、組織や全体の価値観>自分の価値観となりやすい

「長時間労働頑張ることが良いこと」があるブラックな組織で働いていると、個々人としては「みんなやってるしな」みたいな感じで忖度したりしてしまいます。

そもそも長時間労働の問題に気づけなくなることがあります。

こんな風に、全体の価値観>自分の価値観となってしまいがちです。

ですが、これは西洋ではあまり起こりにくい事案です。

そもそも「長時間労働が良いこと」という考えが薄いですが、万が一そんな組織があったとしても、「俺の時間を何だと思ってやがる」と忖度なんかせず、切り捨てるようなイメージがあるかと思います。筆者はヨーロッパにいますが、実際そんな感じですね笑

西洋では、全体の価値観<自分の価値観となっていることが多いです。

この違いはどこから来るのでしょうか?

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これは、文化心理学の自己(self)の観点から説明がつきます。

文化心理学ではindependent view of the self(独立した自己観)、dependent view of the self(従属的な自己観)という概念があります。

independent view of the self(独立した自己観)とは、自分を構成する要素が自分の内側にある人、dependent view of the self(従属的な自己観)とは、自分を構成する要素が外にある人のことです。

日本を含む東アジアの国は、dependent view of the self(従属的な自己観)が大多数の考えです。

これだとわかりにくいので例を出して見ましょう。

人にもよりますが、例えば日本生まれ日本育ちの日本人に「あなたを表すものを教えて下さい」と聞くと、「私の名前は〜です。~人の家族がいます。〜の会社で〜として働いています。」等、自分の外側にあるもので自分のことを答えることが多いです。

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一方、アメリカ人や大陸ヨーロッパの人に同じ事を聞くと、「私の名前は〜です。私は〜が好きです。優しい性格です。」等々自分の内側のことで答えることが多いです。

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これから分かるように、日本人は自己を構成するものの多くが自分の外にある人たちです。

そうなると当然、自分の考え方や価値観が外部の影響をとても受けやすく、外部の価値観を押し付けられてもあんまり違和感がないといったことが起きます。

実際、小さい頃から自分より大きなものから指示をうけ、それに従うってことが良しとされていますよね。

文化や組織の価値観は自分を構成する一部であるという考え方が強いとなると、外から押し付けられた価値観に疑問を呈することは、「自分を構成するもの一部に対して自分から疑問を呈する」と同義になるので、無意識に躊躇してしまうに決まっています。

人間は未知のものに恐怖を覚える生き物です。

自分自身が何か別のものに変わってしまうような気がする大きなリスクを積極的に取るよりも、自分より大きなものに忖度して自己が変わることを防いだりした方が安心安全です。

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そんな理由から、もしも長時間労働がまかり通っているブラックなところで働いていても、主張をせずに「みんなやってるしな」といった感じで忖度し、長時間労働の変革の遅れが起きてしまうのです。

まとめ

長時間労働=悪いことではありませんが、嫌な仕事を延々としているのは誰だって嫌ですよね。それなのに是正が進まないのは、

  1. 過剰に相手の期待に応えてしまう
  2. 自分より大きなものの価値観を是正することは苦手

こんな根本的な心理があるからなのかもしれません。

ここまで読んでいただいた方はありがとうございました!

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