
- 愛着理論の最新研究ってどうなってんの?
- 自分や周りの人が愛着障害で、愛着のことをもっと知りたい!
といった、愛着障害に関しての理論をもっと深く勉強したい方向けの記事になります。
この記事では、
- 自分の気持ちを抑える 「タイプA」の特徴について、1個づつ詳しく解説します。
- それぞれの幼少期の環境の特徴を解説していきます。
前回の記事では、「安定型」、「不安型」、「回避型」に代わる、新しい理論であるDMM理論について解説をしました。
まだの方はこちらから!↓
今回の記事では、前回解説の出来なかったタイプAについて解説をしていきます。
5分ほどで読み終わりますので、ぜひゆっくりと読んでいってください!
目次
「自分を抑える」タイプA1-8【日本人にとても多いです】
タイプAは、安定型のタイプB、サイコパスのA/Cの間にある分類です。時計でいうと、10時から7時の間のところですね。
人間は「安全」を求める生き物なので、「安全」や「承認要求」を確保するための戦略を図式したのがDMMです。

このタイプA1-8の全体的な特徴として、以下のものがあります。
- 自分ではなく、相手の求めていることをやる
- 自分の感情を押し殺す
さまざまな理由はありますが、このタイプは「親の対応が機嫌によってバラバラだったので、顔を伺っていた」人がなりやすいタイプです。
相手の求めていることをやったり、静かにしていることで親からの「安全」や「承認」を得ようとするのがタイプAです。

以下に細かく、そのタイプを解説していきます。
タイプ A1-2:「少しだけ物静かにしていたタイプ」
このタイプの特徴は、
- どちらかというと物静か。
- 自分の主張するときはできる。
- 他の人との親密な交流は楽しめる。
といった特徴があります。
タイプB(安定型)と限りなく近いので、特に問題はないとされています。
ですが、タイプBに比べて、少しだけ自己主張が許されてこなかったタイプになります。
タイプA3:「相手に尽くすタイプ」
「少しだけ物静か」だけでは親の承認を得ることができなかった人がこのタイプに移行してきます。
このタイプA3から以降のタイプはタイプA+と言われ、問題が発生する場合が多いので、場合によっては心理介入を検討します。
このタイプの特徴として、
- 困っている人は放っておけない
- 自分のことよりも他の人の世話を優先する
- 自分の感情表現は少ない
といった特徴があります。
看護師や医師、介護士等、他人の世話をすることを主とする仕事にとても適性があるタイプです。

このタイプは幼少期に、
- 親を逆に励ます立場にあった人
- 常に親のために何かをしなくてはいけなかった人
といった人が大人になった後に、子供の時親に使っていた方法をそのまま使っている場合が多いです。
タイプA4:「相手に尽くし、それで相手が満足してるか常に不安になるタイプ」
「自分を抑えて相手に尽くす」だけでは小さい時に親から承認を得られなかった人が、このタイプに移行をしてきます。
主に親が多少虐待傾向がある場合に、このタイプになります。
「親に尽くした」としても怒られてきたり、親の行動にばらつきがあった場合になりやすいタイプです。
このタイプはタイプA3の特徴に加え、
- 自分のしていることがちゃんと相手のニーズを満たしているかとても不安になる。
- 嫌な頼みでも引き受けてしまう。
- 内心嫌だったり、怒っていても笑ってしまう(False Positivity)
- 不安症、心配性の傾向が強い
- 自己主張がとても苦手
といった特徴があります。
日本人はA3、もしくはこのA4の人が多いとされています。
「嫌な頼みでも引き受けたり」、「相手に尽くしたり」、「自己主張が苦手」だったりっていうのは、とても文化的に好ましいですからね。

幼少期には、
- 親に尽くしてもそれが親の求めているものと違うと怒られた
- 親が機嫌で人が変わってしまうような人だった
といった幼少期を持っている人が多いです。
タイプ A5:「親密な関係から逃げ出すタイプ」(従来の「回避型」)
このタイプは、いくら親に尽くしてもいよいよダメだという場合に移行してくるパターンです。
尽くしてもダメだと学んでしまったので、親密な人間関係から離れ始めてしまいます。
このタイプの特徴としては、
- 「親密」な関係が苦手。表面的な友人関係は好き。
- 批判への耐性がかなり弱い。批判を避けるために人から離れることがある。
- 「嫌われること」にとても敏感。なので「優しい人」が多い
- 人から嫌われたと勝手に勘違いすることが多い
といった特徴があります。
「嫌われる勇気」本がありましたが、ここのタイプの人にとってはそれを押し付けることはとても酷なことです。
ちなみに、うつ病等の精神疾患リスクも高いです。「優しい人がうつ病になりやすい」というのもこれと関係しています。↓
このタイプの幼少期の特徴としては、
- 親に裏切られるようなことをされてきた(嘘をつかれる等)
- 親から直接的な暴力を受けることがあった
こんな状況だったので、「親は信じられないから他の人と一緒にいたい。でも心の底から他人を信用することができない」
というジレンマに悩まされてしまうタイプです。
タイプA6:「人間関係から完全に逃げ出してしまうタイプ」(従来の「恐れ-回避型」)
このタイプになると、表面的な人間関係を含め、人間関係そのものから離れていく傾向があります。
A3-4の方法(相手の思っていることをやる)、A5(人間関係を表面的に保つ)ことどちらも自分の身を守ること機能しなくなった場合が多いです。
このタイプの特徴としては、
- 「他の人=怖いもの、めんどくさいもの」とそもそも考えている傾向がある。
- 知り合い、友達が極端に少ない
- 引きこもってしまう
といった特徴があります。
このタイプは人間そのものを信用していない傾向があるので、人と会って話す機会が多い仕事は向いていません。
ですが、エンジニア、研究者等の「もの」を扱うことを主とする仕事にとてつもない才能を発揮することがあります。

と同時に、このタイプまでいくと精神疾患や虐待のリスク等も非常に上がるので、心理的介入の必要性は非常に高くなります。
このタイプの幼少期としては、
- 親に精神的虐待等、直接手を下さない虐待を受けていた
- 親が短期間で変わっていた(離婚等)
といった幼少期を持っている傾向が高いです。
タイプA7:「相手のことを理想化する」(ストックホルムシンドローム)
人間関係から離れても自分の身に危険があったような人が、このタイプに移行してきます。
ちなみに、普通の社会生活を送っている人で、ここのタイプまで移行する人はそこまでいません。
人間関係から離れようとしても自分の身の安全が保障できなかったので、以下のような特徴がみられます。
- 自分の身に危険があってもそれを理想化する(DV彼氏を愛している等)
- 一見幸せなように見える
- 気分の上下が極端に激しい
ここまできてしまうと、自分の気持ちはほとんどなく、「いかに危険な他の人から自分の身を守るか」に徹してしまいます。
ストックホルムシンドロームという、誘拐、拘束された人が犯人のことを好きになってしまうという事件がありましたが、被害者は完全にこのタイプの方法を使っています。

幼少期の特徴としては、
- 身体的虐待など、親から身の危険を感じていた。
- 衣食住に関わるレベルのニグレクトがあった。
といった法律に関わるレベルのことをされていた可能性が高いです。
タイプA8: 「自分」というものは存在せず、「相手の考えることが全て」のタイプ(サイコパスの一歩手前)
このタイプは今まで紹介した全ての方法がもう使えなくなってしまったタイプです。
A7同様、ここまでくると普通の社会生活を送っていることは稀で、何かしら精神疾患を抱えている可能性が高いです。
今までのタイプが全てつかえなくなったので、
- 相手に合わせてA1-8タイプのどれにでもなれる
- 「自分」の気持ちはほとんど存在しない
- とても魅力的に見える(相手に合わせた自分になれるため)
といった特徴があります。
サイコパスの一歩手前の状態で、他人への共感性、人間関係の喜び等はもうほとんどありません。
なので、普通の社会生活を送ることはとても困難なので、心理的介入がほぼ確実に必要な段階です。
幼少期の特徴としては、
- 身体的虐待を常に受けてきた
- 生死をさまようようなニグレクトを受けていた
- 両親から性的虐待を受けていた
といった最悪の状態を生き抜いてきた場合がほとんどです。
まとめ
今回の記事をまとめると、
- A1-2:少し物静か程度のレベル
- A3:自分を抑えて、相手にとことん尽くすタイプ
- A4:相手に尽くしつつ、常に自分のしていることが正しいか常に不安なタイプ
- A5:人間関係から離れ出すタイプ。親密な関係は苦手。
- A6:表面的な人間関係からも離れ出すタイプ。
- A7:相手を理想化しだすタイプ
- A8:自分の外に「自分を」を作り出す
といった感じになります。
次回はこれとは逆のタイプC1-8について解説をしていきます。
ここまで読んでいただいた方はありがとうございました!