長い人生で「自分なんてダメだ」、「こんなこともできない自分なんて」って思うことありますよね。
ただこの感情が強すぎると、問題になります。
下手したら死にたいとまで思ったりします。
皆さんの中でも、ここまではいかなくても自己肯定感が低くて悩んでいる方へ、その原因である「虐待」を心理学大学院生の私が解説していきたいと思います。
目次
強い自己否定感の原因
いじめや元々の性格等々、色々理由はありますが、最も大きな理由の一つとして
「子供が自分の思い通りにならないことが過剰に気に入らない親に育てられたこと」
があります。
思い通りにならないことがどうしても嫌で、どうにかして自分の思い通りの方向に子供を持って行こうとする親がいて、そのような親に育てられると、大人になった時に強い自己否定感に陥ります。
で、具体的にどんな風に子供を思い通りの方向へ持って行こうとするのか、
大別して二つあります。
- 1. 力に任せて子供を思い通りにしようとする(身体的、情緒的虐待)
- 2. 勝手に子供が自分の思い通りに動くように仕向ける。
それぞれ解説していきます。
力に任せて子供を思い通りにしようとする(身体的、情緒的虐待)
自分の思い通りにならない子供を、身体的暴力や言葉の暴力で無理やり思い通りにしようとするタイプです。
目に見えてわかりやすいので、「虐待」といえばこれをイメージする人も多いです。
例えば、学校のテストで悪い点を取ったりしたら必要以上に罰として殴ったり、人格否定をするようなことを言うような人がいます。
ではなぜそのようなことをしてしまうのか、原因は自分の思い通りにならない要求不満です。
その人たちの深層心理の構図としては、以下の図がわかりやすいです。
- 自分の思い通りに点数を取ってくれない。勉強してくれない。
- 自分の思い通りにならない子供による欲求不満
- 怒ったりして、殴ったりして、力づくで自分の思い通りに子供を自分の思い通りに勉強させるようにする。
- 思い通りにならないと言う欲求不満解消を目指す
という非常に単純な心理構造があります。
テストの点じゃなくても、泣き止まないからとイライラして、いつも赤ちゃんを殴ったり、下手したら殴り続けて殺してしまう親もいます。
その人の心理構造としても、
- 自分の思い通りに泣き止んでくれない
- 自分の思い通りにならない欲求不満
- 殴ったり怒ったりして、力ずくで自分の思い通りにさせようとする
といった感じで理解ができます。
人間の自己肯定感は、その多くが幼少期の親が作り出すものです。
本来自己肯定感を与えてくれる親に殴られたり否定されたりしたら、強い自己否定感に陥らないはずがありません。
勝手に子供が自分の思い通りに動くように仕向ける。
力ではなく、「ママ(パパ)の思い通りに動いてくれる子はいい子、動いてくれないのは悪い子」というメッセージを子供に送り続けるやり方です。
具体的には、自分の思い通りに動いた時だけ自己肯定感を与え、それ以外のときに叱ることにより、子供が自動的に自分の思い通りに動くように仕向ける方法です。
目に見えないので、虐待と思われないことが多いです。
この手法を行動心理学では「行動の強化」と言います。
ある行動をしたと同時にご褒美が与えられると、そのご褒美を求めてその行動をどんどんするようになります。
人間と同じ哺乳類のイルカのショーで、イルカがトリック(強化したい行動)をしたときに、飼育員の人が餌(ご褒美)を与えているのは、この心理を使っています。
これを親子関係に当てはめると、
「いい子」と褒められたく、「悪い子」と怒られたくなく、子供はどんどんと「親の思い通りの行動」をするようになっていきます。
それと同時に、自己肯定感も潰されていきます。
自己肯定感とは、「自分の行動に対する有能感や、自分に対する信頼感」とも心理学では言われています。
親に操られた行動ばかりしていては、そんな感情が育つはずもありませんよね。
心理的虐待を受けた筆者の例
では、どんな風にこの虐待が起きるのかについて、例として私自身の経験を話したいと思います。
- 自分の仕事道具(農機具)の展示会をやっていたので、ほぼ強制的に連れていかれた。案の定とてもつまらなかったので、つまらなさそうにしていたら、「せっかく連れて来てあげたのに、なんでそんなにつまんなそうにしてんの??」と不機嫌そうな顔で言われた。子供の私は、連れて来てもらったのに親にとても悪い気がして、無理に楽しそうにしていると、父親も「連れて来てよかった」と喜んでくれて、自分も嬉しくなった。
というエピソードがあります。
父親の行動を分解するとこんな感じです。
- 「せっかく仕事の時間とって来てんのに、思い通りに楽しんでくれないのが嫌」
- 「楽しんでる時だけ褒めよう。」
- 「ずっと思い通りに楽しませよう」
で子供(私)の行動も分解すると、
- 「つまらないと思ってるとパパに怒られる」
- 「自分の感情を抑えて、楽しい自分を演出しよう」
- 「そうするとパパに褒められて嬉しい」
これ二つをかけ合わせると、褒めることで、自分の思い通りに行動させようとしている親、自己を抑えて親の顔を見て行動している子供の構図が完成です。
こんな風に、目に見えない方法で自己肯定感を潰され、虐待をされるというケースもあります。
虐待の世代間連鎖
子供の時に自己肯定感が持てなかった場合、多くの場合大人になっても持てません。
自己肯定感が持ててない人は、これ以上自己肯定感を下げるような事象が起きることを非常に嫌うため、物事を自分のコントロール下に置きたがる傾向が強いです。
私もそうですが、なんか予期しないことが起きると、人以上に狼狽してしまったり不安になったりしませんかね?笑
それはこのコントロールが効かなくなったことが原因です。
このコントロールが効かない状態を嫌う傾向が子育てに適用されると、「子供が自分の思い通りにならないことが過剰に気に入らない」という傾向につながります。
この考え方が虐待につながり、それにより子供の自己肯定感が育たない。その子供が親になった際に自己否定感により虐待をしてしまう可能性が高まる。またその子供が。。。
といったふうに虐待と自己否定感は世代を超えて繋がって行きます。これが、世代間連鎖の正体です。
まとめ
親を責めるような書き方をしてしまったかもしれませんが、子育てはとても大変です。思い通りになるように子供をしたいというのは当然の欲求です。
しかし、自己否定感が強いという自覚を持てている皆さんが親になった際、もしくはもう親になっている方は、その欲求不満によるストレスを子供にぶつけるのではなく、自分の趣味など、他の方向に向けていってください。
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