「イクメン」なんて言葉がバズったりしてますね。
しかしながら、未だに「育児は女やるものだ」なんて本気で考えている方もいるので、とてもこまってしまいます。
筆者の出身のド田舎では人の流動性が低く、もう令和なのにそのような前近代的な考え方が根強く残っている実感があります。
東京とかの大都市でも、男性の育児休暇が広まってなかったり、少しそのような考え方が残っています。
でも、父親の育児参加は、子供の心理成長にとって非常に重要なものです。
今回はその理由を科学的に解説していきたいと思います。
尋常じゃ無いお母さんの仕事量軽減
育児はとても大変な仕事です。
24時間365日無給で数年間拘束されるような仕事は育児以外にこの世には存在しません。
発達心理学的に、子供の心理的成長に対してお母さんが果たすべき重要な要素は三つあると言われています。
- Sensitivity(子供に発しているシグナルに敏感であること)
- Accenptance(子供に対して受容的であること)
- Psychological Accecibility(不安になったり、心理的に取り乱したした時に子供がすぐ助けを求められる状態であること)
なんのこっちゃって感じかと思いますが、要するに「子供の発しているニーズに敏感であり、そのニーズにちゃんと応えられる状態」を24時間365日、数年間保つ必要があるのです。
そんな仕事に加えて家事や、他の仕事のストレス要因がプラスされたりすると、とんでもないストレスになることは間違いありません。
お母さん一人でストレスを抱えると、子供の心理発達に影響出る可能性がある
心理学的に、人間はストレスレベルが上がると、他の人や他のことをあまり気遣えなくなります。
そうなると、重要である「子供に対する敏感さ」が欠け、子供の心理発達に影響が出る可能性が出てきます。
ここでお父さんがサポートしてあげることにより、単純にお母さんの仕事負担を減らすことで、ストレス要因を少しでも削ったりすることができます。
そして、何よりお母さん側の安心感が段違いだと思います。
そうすると、お母さん側のストレスが減り、お母さんの重要な仕事である、「子供の発しているニーズに敏感になり、そのニーズにちゃんと応えられる状態」に集中することができます。
こんな理由で、お父さんのサポートは子供の心理発達にとってとてもとても重要なのです。
子供の探検のサポート
発達心理学では、Circle of security(安心の輪)という概念があります。
子供は小さい頃はお母さんにべったりですが、年を重ねるにつれて、お母さんから離れて自分から外の世界へ飛び出すようになってきます。
小さな子はなんでも興味を持って手に取ったり、どっかに行っちゃったりしますね笑
でも、怖いことがあったり、疲れたりするとお母さんのところに戻ってきて甘えたりもします。
- お母さん(安全基地)から離れる
↓
探検
↓
探検先で疲れたり、怖い体験をしたりする
↓
お母さんのところ(安全基地)に戻ってきてエネルギー補充をする。
これをひたすら続けることにより、お母さんと自分以外の世界のことを知っていきます。詳しくはこっちにまとめていますので、ぜひご覧ください↓
お父さんはこの「探検」において重要な役割を果たします。
小さな子供にとってのお父さんとは、お母さん以外で初めて会う外の世界の人間です。
しかもなんかお母さんより強く見えるし怖いけど、なぜか自分を守ってくれるという子供にとっては謎な、強くて優しい存在です。
そんなお父さんにエスコートされ、守られているという安心感があるからこそ、「探検」が達成されます。
お父さんがいないと、子供が成長したときに消極的になったり、悪夢や夜恐症が強くなる傾向が強いという研究結果があります。
お母さん以外の守ってくれる人のいない外の世界が怖すぎて、そんな症状が出てきてしまうのです。
子供の過剰な万能感を抑制する
お父さんは子供にとって、大きくて自分を守ってくれる存在であると同時に、とても怖い存在でもあります。
なぜか、他人のくせにお母さんと自分の近くにいて、しかも自分のお母さんとベタベタしてる。
でも、お父さんはとても大きくて強いので、自分に抵抗できるはずはない。
そんな子供のお父さんに対する葛藤の心理を、昔の心理学者は「エディプス・コンプレックス」なんて呼んだりしました。
そんなお父さんと接することで、「自分よりも大きくて強い人間がいるんだ。自分はまだまだなんだ」と子供は学ぶことができます。
そうすることで、「自分はなんでも出来る。何をしてもママは許してくれる」といった大きすぎる自己万能感を抑制します。
逆に、お父さんの存在が欠如すると「自分はなんでも出来る」といった過剰な自己価値観を持ったまま成長してしまうリスクが高まります。
「自分は最強でなんでも出来る」といった病的な全能感を持つリスクが高まるとの研究結果があります。
こんな風に、お父さんがいなくなると「自分は最強でなんでも出来る。でも、外は怖い」といった矛盾した気持ちを抱えてしまうことになるのです。
まとめ
育児に参加している「イクメン」とか言ってもてはやされることがあります。
しかし、その前提としてある男性が育児に参加しないという考え方が、そもそも生き物としての人間の活動を阻害しています。
仕事が忙しい等々の理由もあると思いますが、子供が小さい時の数年間で外の仕事で生み出す価値よりも、一人の人間の心理発達に与える価値の方が長期的に見たら圧倒的に大きいです。
多くの男性が育児に参加できるようになったらと思う今日この頃です。