「精神的虐待」というというとどんなことを思い浮かべますか?
おそらく、子供を怒鳴ったり、悪口を言ったりするようなことを思い浮かべるかもしれません。
しかし、子供に直接手を下さないことでも精神的虐待になります。その典型例である、夫婦喧嘩について今回は紹介をしていきたいと思います。
脳への物理的なダメージ、学習力の低下、社交性の低下を引き起こす
まず結論から言うと、夫婦喧嘩を子供に見せること、聞かせること=精神的虐待です。
直接子供に手を下していないのになんでだって思う方もいるかもしれません。
その理由は、人間の子供は自分の親の機嫌に対してかなり敏感であるためです。
生まれて数日の赤ちゃんですら親の顔を伺って行動をします。(その伺っている様子を観察研究する方法は、CARE indexといいます。あとの記事で解説しようと思います)
他の哺乳類の動物と違い、人間の子供は親がいないと死んでしまうので、そんなふうな機能がもともと備わっています。
なので、どちらの親も怒っているような状態は尋常じゃないダメージを子供に与えます
夫婦喧嘩や夫婦仲険悪の状態にさらされてきた子供は、以下の症状が出るといった研究結果があります。
- 脳への物理的なダメージ
- 学習能力の低下
- 社交性の低下
これは、殴られたりしてきた子供と同じような症状です
なので、夫婦喧嘩をみせたり、聞かせたり、感じさせたりすること=虐待となりますので、本当に気をつけましょう。
子供の自己肯定感が下がる
見せるだけでなく、筆者は親によくやられていましたが、喧嘩のあと「パパ(ママ)はこんなにひどいんだよ」なんて子供に言い聞かせるのは心理学的に言語道断の行為ですので、絶対にやめてください。
まず一つ目に、本来守るべき立場の親と、愚痴を聞く子供の立場が逆転しています。
これをRole-reversal(立場逆転)といい、私の大学院の研究で家族問題診断をする場合に重要なキーポイントととしています。機能不全家族の典型例です。
二つ目に、あとは家族心理的にも、「片方の親と子供 VS 親」という2対1の歪んだ構造を作り出すことになりかねません。
この構図も、機能不全家族にかなり典型的な構造になります。機能不全家族で育ったひとをアダルトチルドレンと呼んでいたりしますが、家族機能の不全は、低い自己肯定感等々の症状の原因になったりします。
こんなことから、脳科学的、家族心理学的に尋常じゃない影響を及ぼします。
なので、「夫婦喧嘩は子供に直接手を下していないから大丈夫」なんて考えは本当に間違っているので、気をつけましょう。
見せてしまったら子供を徹底的に慰める
対策としては、そもそも喧嘩をしないか、「子供に喧嘩を見せない聞かせない」といったことを徹底する必要があります。
とはいえ、一度や二度やってしまうこともあるかもしれません。そうしたら、「子供を慰めること」に全力を尽くしましょう。
夫婦喧嘩を見てしまった、聞いてしまった子供は尋常じゃない恐怖感を感じています。
「なんでママとパパは喧嘩しているんだろう」と思い恐怖に怯え、大人には想像できないほどのダメージを心理的、身体的にも負っています。
そんな子供にたいしては、まず「ごめんね怖かったよね」といって慰めてあげましょう。
その時に「ママ(パパ)がこれこれこうで酷くて喧嘩しちゃってね」なんて、相手側を責めることは間違っても言わないようにしましょう。
理想的な答えとしては、「ごめんね怖かったよね。ママ(パパ)はいつもは仲いいんだけど、今日はたまたま〇〇ちゃんに怖い思いさせちゃったね」といったふうに、
- 怖がらせてしまったことへの謝罪
- 喧嘩した相手を責めないこと
を徹底的に心がけて、心から謝罪をしましょう。
まとめ
親も人間同士ですので、喧嘩をすることはあります。
ですが、子供にとって深刻なダメージをあたえることも事実です。
ですので、喧嘩をする際は絶対に子供にみせない、聞かせない、感じさせないことを、感情の制御が効く大人として徹底していきましょう。